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No.273 2015年5月1日

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感染性処理マニュアル


改定に伴う意見を集約
―異物混入物について指導の強化を―


 医療廃棄物処理マニュアルの改訂に伴い、全産連・医療廃棄物部会では、意見の集約を行うことになり、
東京都産業廃棄物協会をはじめ、各地の協会から、日ごろ疑問に思っていることや、改正が必要と思われる
事などを、意見書として提出することにしている。主な内容は廃試薬、水銀、スプレー缶、電池、ライター、
他にベンジン、シンナー、キシレンなどの引火性や揮発性のある廃棄物、また放射性の廃棄物等が挙げら
れる。このような廃棄物が、感染性廃棄物内へ混入し、処理業者が感染性廃棄物と思い込んだまま、処理を
行うことで、設備トラブルが発生し、多大な損害が生ずる事例もあるので、十分な注意が必要である。この
ような事例が生ずる理由として、「感染性の許可を保有している、処理業者であれば、何でも処理できる」と
勘違いしていることもあり、特に廃試薬、水銀、引火性や揮発性などの、ケミカル系廃棄物を委託する際には、
処理業者の許可確認だけではなく、処理方法や能力なども正しく理解し、委託業者を決める必要がある。


◆エボラ出血熱◆

感染性廃棄物として
―日本での流行は起きるか―


 エボラ出血熱については、一時西アフリカで大流行になり、わが国にも飛び火するのではないかと思われ
たが、現在は小康状態になっている。そこでエボラ出血熱について触れてみることにする。エボラ出血熱とは、
エボラウイルスによる感染症で、必ずしも出血を伴うわけではなく、潜伏期間は2〜21日(通常7〜10日)汚染
注射器での感染では短く、接触感染では長い。最も一般的な病状は、突然の発熱、強い脱力感、疼痛、喉の
痛み、胸痛、腹痛などから始まり、半数以下のケースでは、吐血や血性下痢、肝臓、皮下出血などがある。
接触感染が主体で、空気感染はないが、飛沫感染はあり得る。現在わが国では、感染性廃棄物として取り
扱っている。

――少数派の踏ん張り――

 外交辞令が飛び交う昨今の世界情勢は、何が本物かを見極めることは、何かと難しいようで、考えれば考える程混乱を招くことになりそうで、躊躇している。なぜこんなことを述べるかというと、世界情勢が直接わが国の状況を左右し、日常生活にも影響するからである。我々は医療廃棄物問題に集中していれば良いと言っていられないからで、世間全般を常に見渡していなければならないからである。こんなことを言いながら医療廃棄物問題を取り上げていることが、良いかどうかは別にして、やはり医療廃棄物問題は、常に念頭においていると言わざるを得ない。長いことやっているとつくづく感じることで、少数派だけに、多少見栄を張らなければと思っている。
 当局をはじめ、関係団体では、講演会・講習会・研修会等を通じ声高に産業廃棄物の適正処理を呼び掛け、それなりの効果を上げているようであるが、形式だけになりやすく、身に付いた形ではいないようで、考えさせられている。このようなことが無く医療廃棄物問題に集中できるよう、常に取り上げられることを望んでいる。今さらながらと思うことが、水銀問題にあることを思い出してもらいたい。水銀に関する水俣条約がようやく、俎上に上がり現実の問題として取り上げられてきた。今まで問題にされながら、何となくあやふやな形で処理されてきたのが、一応の形で処理されるようになったことは、長年水銀問題に取り組んだものとして、喜ばしいことであるが、多少遅きに失した感があり残念で仕様がない。今後をも水銀関連廃棄物の適正処理は言い続けるが、関係の者はもちろん、一般の人にも関心を持ってもらいたいと考えている。

医療廃棄物研究所  所長 渡辺 昇