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No.225 2011年6月1日

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環境省の事務連絡


他の廃棄物と分別して保管を徹底
―感染性廃棄物の取り扱いについて適切な処理を―


 環境省では今回の大震災に際し、各種通達を出し適切な対応を要請しているが、あまりにも災害が大きいため、関連省庁と連携を取り、責任の押し付け合いによる、隙間の生じない対応に苦慮している。
 なかでも感染性廃棄物については、関係部局に特別に通達を出した。
 災害廃棄物に混入している感染性廃棄物については「感染性廃棄物」等と記されている容器をそのまま保管所へ運搬するとし、注射針、点滴用の針、メス等の鋭利な物の取り扱いについては、手など傷つけないように注意し、堅牢な容器や耐久性のあるプラスチック袋、フレコンバック等丈夫な運搬容器で運搬する。


◎感染性廃棄物の保管について◎


保管については、保管場所に感染性廃棄物を保管している旨を表示、屋根のある建物内で保管するが、屋内の保管場所が確保できない場合には、防水性のビニールシートで全体を覆うなど、直射日光を避け、雨風にさらされず、感染性廃棄物が飛散、流出、地下浸透、腐食しないような対策を講じる。焼却等の滅菌できる方法で処理することになっているため、適正な処理が可能になるまで保管することになっている。

放射線物質の暫定規制値を決める
―野菜や牛乳など一定量を一年間摂り続けた場合―


食品衛生法では有害物質を含む食品販売を禁じているが、放射線物質の基準はなかったので、急遽、放射性のヨウ素やセシウムなどの、暫定規制値を決めた。放射性ヨウ素で飲料水・牛乳・乳製品1キロあたり300ベクレル、野菜類が同2千ベクレル。放射性ヨウ素の影響を受けやすい乳児が飲む乳類は同100ベクレルを越えてはいけない。一定量の野菜や牛乳などを一年間摂り続けた場合、ヨウ素の甲状腺での線量が50ミリシーベルト、セシウムの全身的線量が5ミリシーベルトを越えないよう算出した。

災害廃棄物の取扱い


【基本的な考え方】
・災害に伴って発生する廃棄物の処理責任は被災市町村(災害対策基本法50条第6項、震災廃棄物対策指針、水害廃棄物対策指針)
・災害廃棄物は廃掃法では明確に定義されておらず、国の指針では廃棄物の種類が定義(法第22条、震災廃棄物対策指針、水害廃棄物対策指針)
・災害廃棄物は、廃掃法で産業廃棄物として規定されていないため解釈上は一般廃棄物
・自治体が実施する災害廃棄物処理事業に要する費用は国庫補助が適用(法第22条、令25条、環廃対第0402002号平成19年4月2日)
【過去の災害における事例】
・過去の調査事例では、“一廃・産廃を厳密に区別した場合、迅速かつ適正な処理が困難”、また、“自治体に処理責任があるので、基本的には一廃として扱う”との意見が多数
・倒壊した道路・鉄道等の公共インフラ施設は、事業管理者の責任で産業廃棄物処理(H7阪神・淡路大震災)

自然との折り合い


 地震・津波・原発事故、まさに三重苦、いまさら地球にやさしくなどとは言っていられない
様相である。夏涼しく冬暖かく一日中便利に生活できたことは、原発によるエネルギーのおかげと知れば、何をか言わんやではなかろうか。
 連日報道される放射能汚染のニュース、どこまで本当なのかさっぱりわからない。わかっていることは放射性物質が大気中に検出されたことである。またこのことが影響して節電が叫ばれていることである。
 節電となれば、まず槍玉に挙がるのはクーラーであろう。昨年の夏を思い起こしてみてもクーラーなしではいられないのが本音で、今年も昨年並みに猛暑が続けば、節電など言っていられるか、今から心配している。それでもしなければならないならば、どうすれば一番良いのかが問題になる。言うなれば、今の便利さを我慢すれば良いことで、自然にかえることがお勧めということになる。
 いつの頃からか自然と人間の間が開きすぎてしまい、一見修復不可能とみえる。そこで今さら環境が壊れつつあるからどうすると言っても、そう簡単に元通りになるものでもない。当面は今ある現実にどう対応するかで、私達とすれば当然廃棄物処理をどうするのか、なかでも感染性廃棄物をどう取り扱うかが問題である。一応通達を出し適切な措置を要請しているが、現状では難しいのではないか。見るかぎり混然となっている様は到底分別など出来かねるし、保管所に運搬するにしても保管所を確保できるのか、大いに疑問である。
 また別の問題が出てきた。今回の大震災に際し、いくつか公平・公正をかく動きである。それは廃棄物の収集・運搬についてで、一部業者の間で緊急車両のステッカーをはって、普通の車が動けない道路を我が物顔で走っていたことである。この件については追って述べることにする。
                           医療廃棄物研究所 所長 渡辺 昇