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No.219 2010年12月1日

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廃棄物処理法の一部改正


産業廃棄物収集運搬業許可の合理化
―平成23年4月1日の施行を目指し―


 既報の通り、産業廃棄物収集運搬業許可の合理化については、(感染性廃棄物の収集運搬業者は勿論含まれる)先般の廃棄物処理法一部改正により、法律施行令を始め関係者政省令の整備を進め、平成23円4月1日の施行を目指し、現在意見募集(パブリックコメント)を実施している。
【環境省HP:http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=1


廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案等について(抄)


 7、産業廃棄物収集運搬業許可の合理化(法第24条の2及び現行令第27条関係)
 この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市の長が行うこととすることができる。(法第24条の2第1項)。
 法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうち、廃棄物再生事業者の登録に関する事務以外の事務は、地方自治法上の指定都市の長、中核市並びに呉市、大牟田市及び佐世保市の長(以下「指定都市の長等」という。)がおこなうこととする(現行令第27条)。

  法に規定する都道府県知事の権限に属する事務のうち、法第14条第1項及び第14条の4第1項の規定による産業廃棄物収集運搬業許可に関する事務は、産業廃棄物を一の政令市の区域を越えて収集又は運搬を行う場合には、当該政令市の区域を管轄する都道府県知事が行うこととする。ただし、産業廃棄物の収集又は運搬に伴い積替え又は保管を行う場合にあっては、従前通り、当該積替え又は保管を行おうとする区域を管轄する政令市の長がおこなうこととする。
 この改正に伴い、所要の経過措置を設けることとする。

◎感染予防対策◎


経費の面から問題提起
―医療廃棄物処理費用の占める割合は―


 多大耐性菌やノロウイルス等による院内・外感染問題がクローズアップされたことによって、まず院内の感染防止対策が問われ、院外への対応はどうかが論議されだしたようである。
 特に今まであまり問題にならなかった、医療廃棄物処理費用について、ようやく感染投資額としてどうなのか、欧米各国と比較してあまりにも低いので、感染予防対策を含め欧米並みの予算を計上すべきとの意向が強くなっている。
 ちなみに、現在大病院では直接の処理費が一億円を超えているところもあり、その他感染管理関係の人件費を含めると医業全体の収入の1%に迫るといわれる。(欧米では医業収入の4〜5%をかけているそうである)
処理費の適正化が叫ばれている折から、厚労省が説明している「入院基本料の中に感染防止対策関連コストが入っている」などと言ってはいられない状況になってきたようである。

あらゆる機会を捉え


現政権が唱える「新成長戦略」の中で、高い成長と雇用創出が見込める産業に位置付けているものに、「医療・介護・健康」と「環境」があり、関連分野で民間事業者に開放し、公的なサービスを拡大しようとしていることは周知の事実である。ではなぜこのようなことを冒頭に掲げたかといえば、医療も環境も本来市場原理にそぐわず、あくまでも公的サービスとして拡充すべきと考えているからである。
医療と環境が前面に出るからには、医療廃棄物の適正処理はうってつけな分野で、まず関係者の理解を得るためにも良い機会といえる。ところが、いつもの例で新分野を支える「哲学」がなく、自由市場に委ねてしまう恐れが十分感じられ、現に関連産業は勝手に拡大策をすすめているようである。
医療廃棄物の適正処理には格好な機会と思ったとたんに、やはりだめかとやりきれない気持になりそうだが、医療廃棄物の適正処理を確立するためには、あらゆる機会を活用することは勿論、現在取り上げている多くの問題点を一つ一つ解決し、皆が納得できる制度にしていくべきである。そこでよく言われる言葉に、「原点に立って」とか「初心忘れるなかれ」がある。たしかに医療廃棄物の適正処理をめざし、行政・医療界・処理業界それぞれ、それなりの働きをしたが、原点・初心とも必ずしも一致していたわけではなく、かえって各者間の考え方の相違が広がったような気がしている。
現実を十分認識することは必要だが、前に進まなければ解決はできないのだから、前に進もうではないか。
 医療廃棄物研究所 所長 渡辺 昇