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No.201 2009年6月1日

感染性廃棄物処理マニュアル

5月に一部改訂版を発表
マニフェスト交付状況の報告等を追加

環境省は去る5月11日、「感染性廃棄物処理マニュアル」の一部改訂版を公表した。新型インフルエンザの国内発生に備えて、廃棄物処理業界も対応に追われている最中の公表であったため、それほど関係者の注目度は高くなかったといえるが、改訂には重要な点が含まれている。

マニュアルについては、周知のとおり「廃棄物処理法」に基づき作成されたものであり、関係法令の改正を踏まえて随時修正が行われている。今回の主な改定内容は、(1)医療関係機関等による産業廃棄物管理票(マニフェスト)交付状況の都道府県への報告、(2)収集運搬車両への表示および書面の備え付け、(3)感染症の類型変更に伴う紙おむつの取り扱いを一部変更――等であり、感染性廃棄物の適正な管理・処理をいっそう推進することを要請している。

◎新型インフルエンザ対策◎

廃棄物処理業界も対策を急ぐ
ガイドラインに沿って行動計画を作成

(社)東京産業廃棄物協会・医療廃棄物委員会と東京医療廃棄物処理協同組合は、このたびの新型インフルエンザへの対策として、行政をはじめ各関係団体および関連業者(容器メーカー等)にも参加を募ったうえで、先ごろより合同で会議を開いてきた。そこで、5月8日にまず別表(右ページ)の決議を行い、続く19日にはそれぞれの項目について詳細を詰め、検討した。

安心・安全を基調として、廃棄物処理事業が継続可能となるような行動計画の作成を、各企業に要請している。

(社)東京産業廃棄物協会・医療廃棄物委員会 新型インフルエンザ対策
  • (1)今回の新型インフルエンザに関する情報収集、インフルエンザとは何か の周知徹底を図るために「医療廃棄物勉強会」を拡充強化し、随時開催 する。
  • (2)関係団体(行政含む)との連携強化のため、定期的に会合を持ち、情報 交換をするとともに対応について相互に検討する。
  • (3)処理従事者への感染防止対策を図るため
    イ)防具類(防護服・マスク・手袋・ゴーグル・消毒装置・靴等)をどの程度装備すればよいかを早急に調査し、準備する。
    ロ)予防薬及び治療薬等の手配を要請する。
  • (4)処理業者(中間処理・収集運搬)の実情に応じパンデミックを想定した 行動計画を早急に立案する。
  • (5)容器等の器材の確保・保管を早急に検討する。

掲げた正論を空回りさせるな

昔から、正義や改革を掲げて正論(かどうかは世間が決める場合が多く、実際のところ正論ではないのかもしれないが)を唱える人の多くが、厚い壁に阻まれては途中下車を余儀なくされ、挫折を繰り返してきた。

医療廃棄物問題の正論は何かと問われれば、「適正処理方式の確立」と即答できるが、この「適正処理方式」自体が難問であって、30年来「ああでもない、こうでもない」と議論が続き、ベターと思われる方式は一応認知されてきたが、ベストとは言い切れないのが実情だと思う。

医療廃棄物処理に携わる関係者がよく言うように、「適正処理とは何か、考えれば考えるほど難しくなる」というのが本音であって、まだまだ苦労は続きそうである。その証拠と言っては何だが、適正処理方式の確立に向け一生懸命取り組んできた人々が、残念ながらこの分野から撤退したり、中には心ならずも法に触れてしまうケースまであり、「いったいどうなっているんだ!」と大声で叫びたくもなる心境である。

法令があり、ガイドラインやマニュアルもあるのに、なぜ適正処理が実現できないのか、時はあたかも新型インフルエンザのパンデミックが取り沙汰されている折、「医療廃棄物処理業界」(「産廃業界」はあっても、そんな業界はないという向きもある)が今後どうすべきかを、徹底的に考えるための機会と捉えるべきではないだろうか。