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No.194 2008年11月1日

ホルムアルデヒド(ホルマリン)

医療現場における使用規制強化
特定化学物質障害予防規制等の改正で

以前より、医療現場におけるホルムアルデヒド(水溶液はホルマリン)について、適切に管理されていないという指摘があった。そのため昨年より、(1)発散抑制措置((1)のみ21年3月より実施)、(2)漏えい防止または緊急時のための措置等、(3)作業責任者の設置、(4)作業環境測定、(5)健康診断、(6)その他の措置、などの法改正が行われてきたところで、医療界でも周知を図るための啓発活動を行うとともに、改善に努めている。
一方、処理業界でも、ホルマリン等の液体の取り扱いについては曖昧な点があり、リスクへの対応が不十分なため、東京医療廃棄物処理協同組合が中心となって自主的に勉強会を開催し、検討を重ねている。

■ホルムアルデヒド 有害性・毒性・用途の例
「ホルマリン」はホルムアルデヒドの水溶液です

(1)発がん性(※1)

  • ・グループ1(ヒトに対して発がん性あり)

(2)感作性(アレルギー)(※2)

  • ・気道感作性第2群(ヒトに対しておそらく感作性があり)
  • ・呼吸器感作性第1群(ヒトに対して感作性あり)

(3)その他の人体への影響(※3)

  • ・皮膚を刺激し硬化させ、ひび割れ、潰瘍を生ずる。蒸気は目を刺激し、涙が出る。
  • ・吸入すると、粘膜が刺激されてせきが出る。
  • ・慢性症状として、肝臓、腎臓の障害が起こる。

(4)用途の例

  • ・防腐剤、消毒剤、塗料、接着剤、メッキ液、農薬、脱臭剤、界面活性剤、有機合成原料
    注:ほかにも1.3-ブタジエン、硫酸ジエチルが特定化学物質予防規則等対象である

※1 発がん性はIARC(国際がん研究機関)の評価による。

※2 日本産業衛生学会の評価による。

※3 人体への影響の出典は、『化学物質の危険・有害便覧』(中央労働災害防止協会)。

  • ・気体(沸点-19.2度)
  • ・空気より少し重い(比重1.08)
  • ・水によく溶ける

漂着する医療廃棄物

依然、日本海側海岸部に集中
各地方自治体で調査を継続中

先ごろ報道したとおり、日本海沿岸では海外からの医療廃棄物が多数漂着している。そのため、環境省では重点地区を指定し、各地方自治体に調査を依頼しているが、数年前に比べれば多少減ったものの、今年も依然として漂着が続いていることがわかった。
一例を挙げると、島根県の調査では今年に入ってから9月までに1,042個の漂着が確認されており、種類も薬びん、注射器(針)、アンプル、点滴パック、点滴チューブ等、多岐にわたっている。なお、2年前の調査では4,013個であり、漂着物に記載されている言語別では2カ国ほどに減っているという。

ADPPの今後に思う

(社)全国産業廃棄物連合会が実施しているADPP(適正処理推進プログラム)の医療廃棄物編については、以前からいろいろな言われながらも、今日まで毎年続いてきた。それはなぜだろうか。

関係者の熱意の賜物だと言ってしまえばそれまでだが、「石の上にも3年」「継続は力なり」といわれるように、世の中の空気が変わってきていることも確かで、以前は考えられなかったような動きも出てきた。

行政当局のパンフレット類の中で、処理業者選択に際してADPP参加業者に委託するよう呼びかけていたり、日本医師会のパンフレットでもADPP参加業者や東京都医師会・医療廃棄物適正処理推進事業参加業者を推薦しているのが一例だ。「全然効果がない」と極論する人々もいる中、こうした形で効果が出てきたことで、一部医療機関では、処理委託時の仕様書にADPP参加業者の確認欄が設けられるようになった。

一方で、まだまだADPPに対する認識は低く、「全然効果がない」状態が続いている地域もある。自主的な活動の限界と言われればそのとおりだが、それだけに今後の運用こそが課題である。

現在、関係者の間では、ADPPは優良業者育成の運動だから不適正業者を排除する方策も講じなければならないという考え方と、まだその域には達していないので啓発運動に重点を置くべきだという意見がある。

業界の今後を占う転換点に来ているのではないかと思う。