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No.193 2008年10月1日

医療廃棄物処理費

最近の大幅な値崩れをどう見る
処理方法の曖昧さが拍車をかける

医療廃棄物の処理費が不安定と言われて久しい。中でも、国公立・大学病院における低価格は周知の事実であり、処理業界内でも常に不満の声があった。
特に中間処理費(主として焼却)の値崩れは顕著で、1kg当たり30〜40円という常識では考えられない入札価格が横行し、多くの業者を入札から遠ざけている。
諸物価高騰のあおりを受けて、容器代・焼却代等で処理経費がかさむ中、依然として医療機関からの要求は厳しく、料金値上げなど声に出せないのが現状という。多くの業者は兼業(一廃・産廃・ビルメンテナンス等)のために何とかやり繰りできているようである。
こうした状況を踏まえ、一部業者の間では、廃棄物処理法の改正を機会に、処理料金安定に向けた対策を取り入れるよう要望する動きが出ている。

医療廃棄物の年間排出量(推定)

(財)日本産業廃棄物処理振興センター

(財)日本産業廃棄物処理振興センターで、先ごろ感染性廃棄物の年間排出量(推計)を計算したところ、従来いわれている30万トンにほぼ同じ数字が算出された。

  • ・病 院:1,768,000(床)×0.485(kg/床・日)×365(日)×0.9(病床稼働率)=281,682,000kg(28.2万t)…(a)
  • ・診療所:155,500(件)×24(容器/年)×7.5(kg/容器)=27,900,000kg(2.8万t) …(b)
  • ・排出量:(a)+(b)≒31万t

新型インフルエンザ対策

廃棄物処理業界への対応は十分か
政府の行動計画中に処理現場の声を

既報のとおり、処理業界の新型インフルエンザ対策については、環境省を中心とする「新型インフルエンザ発生時における感染性廃棄物等の適正処理に関する調査」の結果を待って、(社)全産廃連・医療廃棄物部会の全分科会が取り組むことになっているが、現在のところ医療従事者への対応が議論の中心で、医療廃棄物処理従事者はどう位置づけられているのか明らかではない。
先ごろ与党のプロジェクトチームが政府に提言した「鳥由来新型インフルエンザ対策の推進について」では、各地域ごとに関係者による対策会議を設け、体制整備の推進を図るよう訴えている。この対策会議の場では、医療廃棄物処理関係者の意見を募り、現場の対応を明確にすることも求められるだろう。

処理業界の行方に不安と期待

信頼の糸が切れた世の中、安心・安全の保障が粉々に砕ける様子が連日メディアを賑わせている。

「モラルハザード」が言われる現代であるが(人によっては大昔から言われているとのことである)、これは人間社会の宿命なのか、文明が進歩するにしたがって文化は廃れ、モラルは退化するものだといわれると、他人事ではないような気がしてならない。

我々の業界では「バイオハザード」の危険性を日ごろ聞かされているからか、「バイオハザード」と「モラルハザード」は対象こそ違っても、どこかでつながっているような感じもする。

私たちが開催している「医療廃棄物勉強会」のカリキュラムでは「環境倫理」を取り上げており、環境問題へのアプローチは倫理や道徳(モラル)が基本であることを訴え、モラルハザードへの対策を常に念頭において医療廃棄物の適正処理を説いている。

一般市民にも分かるような処理業界の自浄・自助努力の一環として、医療廃棄物の「適正処理推進プログラム(ADPP)」を実施していることは、まさにモラルハザードへの具体的な対策であり、わずかではあるが成果を上げているようなので、処理業界の行方に不安を持ちながらも期待するという、複雑な気持ちでいる。