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No.180 2007年9月1日

(社)全国産業廃棄物連合会・医療廃棄物部会

在宅医療廃棄物の処理実態について調査
全国の感染性廃棄物処理許可業者を対象に

在宅医療廃棄物問題については、環境省と(社)日本医師会が地方自治体および医療機関を対象にそれぞれ実態調査を行い、先ごろその結果が発表された。

(社)全国産業廃棄物連合会・医療廃棄物部会においても、部会の中に「在宅医療廃棄物対策分科会」を設け、処理業界の立場から適正処理ルートの確立をどう図るべきかを中心に検討を続けることになっている。そこで、まず処理業者からみた実態を把握するため、全国各地の協会を通じて感染性廃棄物処理許可業者を対象としたアンケート調査を実施することになった。

【アンケート調査の主な内容】

(1) 在宅医療より排出される感染性廃棄物処理受託の有無
(2) 廃棄物回収ルートの実態
(3) 受託時の廃棄物の区分(一廃か産廃か)
(4) 一般廃棄物処理許可の有無
(5) 受託品目(注射針、透析パック等)
(6) 針刺し事故等の有無
(7) 処理費用の負担者

【参考資料】

在宅医療廃棄物の処理に関するアンケート調査結果の概要
(環境省 平成19年8月6日)
(1)平成17年通知に対し、注射針以外の在宅医療廃棄物をすべて回収することとしたり、医療関係者との協議を行った等、何らかの対応を行った市 町村は51.5%(通知以前から対応していたものおよび検討中を含む)。
(2)平成17年通知で示した最も望ましい方法に従って回収することとしている市町村は31.0%。
(3)市町村が処理を一般廃棄物処理計画等に位置付ける際の主な課題は、在宅医療廃棄物の種類や危険性に関する情報不足(63.5%)等が挙げられ、処理を行う際の主な課題としては、情報不足による危険性の分かりにくさ(72.3%)、回収に対する心理的抵抗(40.2%)等が挙げられた。

医療廃棄物処理業全国大会

在宅医療廃棄物の処理問題を取り上げ
全国の医療廃棄物部会長(委員長)を集めて

昨年に引き続き、(社)全国産業廃棄物連合会・医療廃棄物部会では、全国各地域の医療廃棄物部会(委員会)員を中心に、全国集会を開くことになった。

今回は、「在宅医療廃棄物の適正処理ルートの確立」をテーマに、連合会の調査結果を踏まえ環境省、(社)日本医師会、各地区の代表者等が講演を行う。

【第5回 医療廃棄物部会長(委員長)会議】

日 時:平成19年10月19日(金) 13時〜16時30分
会 場:虎ノ門パストラルホテル新館6F「ロゼ」
対 象:各地区協会の医療廃棄物部会(委員会)長および事務局担当者
     ※今回は医療廃棄物部会の在宅医療廃棄物対策分科会員も含む

アンケート調査から見えるもの

在宅医療廃棄物の処理状況について、行政・医療側それぞれの立場から相次いで実態調査結果が発表され、こんなものなのかと思う半面、ちょっと違うのではないかとも感じている。

環境省の調査では、平成17年通知に対し、医療関係者との協議を行ったなど、何らかの対応を行ったり対応を検討中の市町村は、51.5%に及ぶという。また、31.0%の市町村が、最も望ましい方法で在宅医療廃棄物を回収しているという点についても、多少疑問を感じる。市町村の対応についての言い回し的な回答が、それを表しているような気がする。

一つの例を挙げると、ある自治体では通知を忠実に実施することを前提に、感染の恐れのある廃棄物(注射針等)はカン・ビン等に密封し、危険物であることを表示し、紙オムツは排泄物を除去して排出するよう指示していることでもわかるように、現実離れした指導が行われていても「最も望ましい方法」の部類に入るならば、数字は高くなるだろう。

在宅医療廃棄物に関しては、情報不足による漠たる不安は関係者共通のもので、回収に対する心理的抵抗は想像以上に大きいのかもしれない。

行政側・医療側の実態調査が終わり、さらに処理業者側の実態調査が始まる。この際、より現実に即した実態調査が行われることを期待すると同時に、せっかく三者の調査結果が出揃うのだから、それぞれの視点から十分に検討し、総合的な対応を行っていく良い機会だと思っている。