No.148 2005年1月1日
あけましておめでとうございます
平成十七年元旦
医療廃棄物研究所 所長 渡辺 昇
廃棄物をICタグにより追跡・検証
東京都立病院を中心に
システム運用機関の信頼性が課題
近年、廃棄物処理に関わる追跡方法について、電子マニフェスト・ICタグ バーコード等が取り沙汰されてきた。これらは、従来のマニフェスト方式 (紙による伝票方式)に対する改良または補完の意味もあって、各分野で 実験的に実施されている。
このたび、東京都でも都立病院を中心にICタグによる追跡・検証システムを 構築し、本年度より実験的に実施することになった。
なお、東京都の「医療廃棄物適正処理モデル事業」は診療所が中心で、 バーコード方式による追跡・検証システムを採用しているが、 ICタグによるシステムとの連携も検討している。
いずれにしても、どのような機器を使うシステムであれ、 検証結果が信頼されなければ単なるシステム遊びになりかねない。 この点を十分考慮して、実施しなければならないだろう。
報告はされていない
新年早々あまりオメデタくない話をしなければならないのが何とも憂鬱である。
それは、鳥インフルエンザを巡る動きがまたぞろ怪しくなってきたからで、 人への感染や新型ウィルスに変異すると言われ出したからである。
通常、鳥インフルエンザは鳥から人へは感染しないと聞かされていたと思うが、 よくよく確かめてみると「感染した例は報告されていない」と言っているだけで、 感染しないとは断言していない。現に東南アジアや中国では感染しているのに、 このような言い回しは一般への説明としては不適切と言わざるを得ない。
鳥インフルエンザがわが国で初めて確認され、感染防止対策として鳥の処分 が行われる様子がテレビで放映されたときから、何かおかしいと感じ、 この欄において、感染性廃棄物としては不適切な対応であり、 結果を危惧する考え方を述べたことを思い出している。
現実は、やはり感染防止対策上不適切であったことが、 一部ではあるが証明され、今後の課題として残ったといえる。
一方で、防護服や抗ウィルス剤の効果が確認されたなどと言っているが、基本的に感染性廃棄物として処理せず、一般廃棄物に準ずるような埋立処分 をしたことに疑問は消えない。